タイで日本商品を売りたい、という問い合わせをここ半年で立て続けに受けています。バンコクの現場感覚では、実際に自分でShopeeタイの店舗を立ち上げて回している日本人事業者はまだそう多くありません。理由はだいたい共通していて、タイ語の商品ページ、現地倉庫、当日中のタイ語チャット対応、FDAの届出、この4点を日本から自前で組むのが重すぎる、という話に落ち着きます。
そこで現実的な選択肢になるのが、代行会社の既存店舗に商品を預けて売る「代行販売型」です。この記事では、タイShopee市場の現状と、弊社バンコクパスポートが提供している代行販売サービスを例に、始め方と気をつけたい点をまとめました。自社店舗を持たずに少量から試したい方向けです。
1. タイEC市場とShopeeの立ち位置
市場規模:2024年で1.1兆バーツ、年率+14%
タイのEC市場規模は、2024年時点で約1.1兆バーツ(前年比+14%、Nation Thailand)。2023年の9,800億バーツから1年で1,200億バーツ以上伸びたそうです。2027年には1.6兆バーツまで拡大するとの予測も出ていて、東南アジアではインドネシアに次ぐ2位の規模。人口はASEAN4位なので、人口比のEC化率は相当高い水準になります。
背景には消費者側の受容度の高さがあります。16〜64歳のオンライン購入経験率が約86%、スマホ経由の購入比率も85%以上。買い物のオンライン化はすでに前提になっている国です。
Shopeeはタイの消費者利用率75%でNo.1
タイEC市場で消費者利用率No.1がShopeeです。過去1ヶ月にShopeeで買い物をしたと答えたタイ人が約75%、Lazadaが67%、TikTokが51%(Sellercraft・Nation Thailand)。近年はTikTok Shopが急伸して2位に食い込みつつありますが、モールに自分の店舗を持って在庫販売するモデルではShopeeの厚みが依然強く、日本商品を扱う場合の第一候補になります。
Shopee Thailand単体の2024年売上は499.6億バーツ、利益46.3億バーツ(Creden Data・Worldef報道)。2023年の294.8億バーツから7割近く伸びた計算です。
日本商品は「品質・安心・デザイン」で強い
タイの消費者にとって、日本商品は「品質が高い」「安心」「デザインが良い」という強いイメージが今も残っています。コスメ、キッチン用品、ステーショナリー、ファッション、健康関連、キャラクターグッズなど幅広いカテゴリで需要があり、Shopeeタイの検索でも「ญี่ปุ่น(日本)」「นำเข้าญี่ปุ่น(日本輸入)」でヒットする商品はかなりの数です。
ポイント: 市場規模・モールの集客力・日本商品への需要、この3点は揃っている。判断ポイントは「売れるか」より「どう売るか」のほう。
2. タイShopeeで動いている日本商品のカテゴリ
大まかに分けると、4系統が動いています。
- キッチン用品・日用雑貨:包丁、調理小物、収納グッズ、タッパー、文房具など。品質と機能性で戦えて、価格競争も比較的穏やか。代行販売でも扱いやすい領域です。
- コスメ・スキンケア:ニーズは大きいですが、タイFDAの化粧品届出(จดแจ้งเครื่องสำอาง)が必須で、罰則も定められています。弊社の代行販売枠では現時点でFDA届出が必要な化粧品は受けていません。届出のコストと在庫リスクが代行販売の枠に乗らないためです。
- アパレル・ファッション小物:ユニクロ・無印・古着・サブカル系のTシャツなど。Shopee TH全体でアパレルは激戦カテゴリで、サイズ感・素材感・限定性のいずれかで差別化軸が立たないと厳しい。
- キャラクター・ホビー系:ポケモン、サンリオ、ガンダム等。ただし14歳未満向けの玩具はTIS 685 Part 1-2562(タイ工業規格(TIS:Thai Industrial Standard)によって定められた玩具の安全性に関する必須規格)の対象で、タイ国内指定ラボでの製品試験+工場審査が必要になり、小ロット販売は実質不可能です。
価格帯は二層構造
タイ市場でよく誤解されるのが「タイは物価が安いから日本商品は売れない」という見方です。実際は二層に分かれています。
高単価帯は、日本ブランドの正規品・新品・専門性の高い実用品。日本の販売価格と同等かそれ以上で売れるケースもあり、富裕層と中間層上位の購買力は十分あります。「日本品質」への対価はきちんと払われる市場です。
低価格帯は、一般消費財や量産品。ここは中国製の同等品との価格競争にさらされます。原価+送料+手数料を積んで、競合より明らかに高くなる商品は厳しい。
「日本のどんな商品でも売れる」ではなく、「タイで差別化軸が立つ商品」を選ぶ、というのが実務のスタート地点になります。
タイ消費者の購買行動
- モバイルファースト:購買の85%以上がスマホ経由。画像とタイ語の短い商品名で判断される想定。
- レビュー重視:星評価と件数を細かく見る傾向が強く、初期レビューが立ち上がりの鍵になります。
- 送料無料への反応:Shopeeの「送料無料プログラム」加入商品は表示優先度が上がり、購買率も明確に伸びます。
- キャンペーン購買:毎月のゾロ目(6/6、7/7、9/9、11/11、12/12)のメガセールに購買が集中します。
自社運営する場合、これらに合わせて毎月のキャンペーン設計・タイ語コピー・レビュー獲得施策を回し続ける必要があります。
3. 自社運営でつまずくポイント
タイShopeeに自社で出店する場合、想定より高い壁が主に3つ発生します。
ハードル1:タイ語のライティングとチャット対応
商品ページのタイトル、説明文、FAQ、キャンペーン文言は全部タイ語で書きます。Google翻訳の直訳は不自然さが目立ち、購買率が明らかに落ちます。
もっと重いのがチャット対応です。タイShopeeの購入者は、日本のECよりだいぶ気軽にお問い合わせチャットを飛ばしてきます。「これ在庫ある?」「色違いは?」「いつ届く?」に、タイ語で当日中に返す運用が要ります。返信が遅れると(CRR)チャット返信率が下がり、検索順位に響きます。
タイ語のネイティブか、それに近い外注先を1人以上抱えられないと、自社運営はスタートに立てません。
ハードル2:規制(FDA・TISI・VAT)
商品カテゴリごとに現地法令への適合が求められます。とくに以下は要注意です。
| カテゴリ | 必要な対応 |
|---|---|
| 化粧品 | タイFDAの化粧品届出が必須。ラベルに届出受理番号を表示する義務があり、罰則も定められている。Shopee TH側も出品時に登録番号入力を必須化していて、後付けでの対応は不可 |
| 食品・サプリ | 13桁の食品登録番号+輸入許可(許可証手数料฿15,000程度)。「飲むスキンケア」「セラミド粉末」など飲食系のものは食品扱いになる点に注意 |
| 14歳未満向け玩具 | TIS 685 Part 1-2562の強制認証対象。タイ国内指定ラボでの製品試験+工場審査が必要で、小ロット販売では実質不可能 |
| VAT 7% | 販売価格に対して7%の付加価値税が課せられます。 |
「他のセラーが売っているから自分も売れる」という判断は危険で、他セラーの多くは「日本→タイのお客様への越境ダイレクト発送」で在庫を持たずに規制をすり抜けているケースが目立ちます。タイ国内に在庫を入れて正規ルートで売る場合、規制は直接かかります。
ハードル3:物流と運用工数
タイへ商品を送り、現地で在庫保管し、注文ごとにShopeeの集荷ルートに乗せる。ここまでを自前で組むのは、個人事業者〜中小EC規模だと厳しいです。
- 日本→タイの国際輸送:船便・航空便の選定、関税申告、通関
- タイ国内倉庫:自社倉庫を持つか、3PL(物流代行)を契約する
- Shopeeの集荷網への連携:注文ごとに梱包→ピックアップポイントへ持ち込みまたは集荷依頼
- 返品対応:現地受領、検品、再販可否判断
これに加えて、Shopeeの管理画面操作・広告運用(Shopee Ads)・キャンペーン参加申請・在庫補充計画などの運用業務が継続的に発生します。日本から遠隔で回すのは、想定より工数を食います。
4. 選択肢としての「販売代行」
このハードルを踏まえて現実的に取れるのが販売代行です。代行サービスは大きく2タイプに分かれます。
運営代行型と代行販売型
| タイプ | 仕組み | 向いている事業者 |
|---|---|---|
| 運営代行型 | お客様名義でShopee TH店舗を新規開設し、運営業務(出品・カスタマー対応・広告・出荷)を代行会社が肩代わりする | すでに月数百万円規模の販売実績があり、自社ブランドとして店舗を持ちたい中堅以上 |
| 代行販売型 | 代行会社の既存Shopeeタイ店舗にお客様の商品を預け、その店舗の枠で販売する | 在庫リスクを抑えて少量から試したい個人事業者・中小EC、テスト販売したい事業者 |
運営代行型は店舗の所有権がお客様側に残るぶん、初期費用と固定費が大きくなりがちです。法人登記、ライセンス取得、銀行口座開設などタイ法人を絡めた手続きが伴うケースが多く、結果としてハードルは下がり切りません。
代行販売型は、代行会社の既存店舗の信用とインフラを借りる形になります。
- 店舗開設の手続きが不要(既存店舗の枠で販売)
- 在庫リスクは商品数と数量で調整できる
- 撤退コストが低い(売れなければ商品を撤収して終わり)
- レビューと配送スコアなど、店舗の基盤評価を引き継げる
「まずタイ市場で売れるかテストしたい」「自社運営はハードルが高すぎる」段階の方には、最初の一歩として現実的な選択肢になります。
代行販売型のメリット
言ってみれば「タイのShopee店舗をシェアして使う」モデルです。代行会社側では、
- タイ語ネイティブによる商品ページ作成とカスタマー対応
- 現地法令に適合する商品の選別と運用
- 現地倉庫での在庫保管、Shopee 集荷網との連携、配送
- Shopee管理画面の運用、キャンペーン参加、広告施策
このあたりを既に整備済みのインフラとして提供します。お客様側は、商品の選定・日本側からの発送・販売価格の意思決定に集中できる形です。自社運営なら数ヶ月かかる立ち上げが、最短で数週間まで縮みます。
補足: 2026年2月からShopeeはクロスボーダーセラー(海外から直送販売するセラー)向けに5%の技術サポート料を追加しました(Forest Shipping・digitalinasia)。代行販売はタイ現地セラーである弊社店舗経由で売るため、この5%の負担はかかりません。日本から個人で越境販売する場合との、地味に効く差の1つです。
一方で、代行販売型は店舗のオーナーシップが代行会社側にあります。長期的に自社ブランドとしてタイ市場に根を張りたい場合は、最初は代行販売で市場性を確認し、軌道に乗ってから運営代行型・自社店舗開設へ移る、という段階的な進め方が現実的です。
5. 代行販売の実際の流れ
弊社バンコクパスポート(YIWU PASSPORT THAILAND)が運営している代行販売枠を例に、実際の流れを紹介します。弊社はタイ・バンコクを拠点に、日系の仕入れ・輸入代行サービスを運営してきた事業者です。
1. 商品の検討と申込
まずは扱いたい商品の候補を整理して、無料オンライン相談(Zoom・約30分)で販売可能性を確認します。
- 商品リスト(候補のURL等)を共有
- タイ側の規制(FDA・TISI等)の適合可否を確認
- タイShopeeでの想定価格帯・競合状況を確認
- 採算ライン(仕入価格+送料+手数料+VATを引いた残り)を試算
販売の見込みが立ったら、正式申込に進みます。
2. 商品の準備と日本→タイ輸送
正式申込後、商品をタイへ送る準備に入ります。
- お客様側:商品の手配、日本国内倉庫への集約
- 弊社側:受け入れ準備、商品情報(URL・画像素材)の確認
- 国際輸送:提携物流会社経由でタイへ発送
- 荷受:弊社倉庫で対応
個別梱包などは弊社側で実施します。お客様側は、そのまま発送できる状態で送っていただければ問題ありません。
3. 商品ページ作成と出品
商品の到着と並行して、Shopeeタイの店舗での商品ページ作成を進めます。
- 商品情報・画像素材の整理
- タイ語コピーの執筆(タイ人スタッフが対応)
- 商品ページの作成・公開
出品準備のリードタイムは、素材が揃ってから7商品で通常2週間ほどが目安です(2026年6〜7月時点はサービス開始直後で混雑気味なので、正確な期間は都度担当に確認してください)。
4. 販売開始後の運用
出品公開後、販売開始です。
- 注文ごとの梱包・出荷(弊社倉庫から発送)
- カスタマー対応(タイ語チャット返信)
- 在庫管理と補充タイミングのアラート
- 月次の販売レポート(注文数・売上・人気商品トップ・PV等)
お客様側で必要なのは、在庫補充の判断・追加商品の検討・販売戦略の意思決定です。タイ側の細かな運用業務は弊社側で完結する設計になっています。
6. 検討前に押さえておきたいこと
現時点で代行販売で受けられないカテゴリ
代行サービスを使う場合でも、商品自体にかかるタイ側の規制は事前の確認が必要です。弊社の代行販売枠では、以下は現時点で受けていません。
- 化粧品(タイFDA届出が必要な商品全般)
- 食品・飲料・サプリ(13桁登録番号+輸入許可が必要)
- 14歳未満向け玩具(TIS 685強制認証が必要)
- 電気製品でTISI強制対象のもの
- 医薬品・医療機器
規制対応の初期投資と、届出単位でのブランド紐付けが代行販売の枠に乗らないためです。判断が難しい商品は、相談段階で「これは扱えますか」を先に確認いただくのが確実です。
想定数量と在庫の考え方
代行販売は小ロットで試せるのが強みですが、極端に少ない数量だと、
- 国際送料の単価が上がる
- 1点売り切れで欠品→レビューと検索表示が伸び悩む
- 採算ラインに乗りにくい
という現実があります。1商品あたり最低10〜30個を目安に、複数SKUを組み合わせて売場を作る感覚で組むと、立ち上がりがスムーズです。
価格設定は日本基準ではなくタイ実勢ベース
これが実務では一番効きます。Shopeeタイで日本商品を売る際、日本の販売価格を起点にバーツ換算するやり方は基本的に外れます。タイShopeeで同種商品がいくらで売られているかを実勢で確認して、その範囲で採算が取れるかを逆算する順番です。
タイ市場は高単価ブランド帯と低価格競争帯が併存します。「日本価格でも売れる商品」はあるにはあるものの、差別化軸(品質・ブランド・専門性)が立つ商品に限られます。一般消費財と量産品は、タイ実勢で戦う前提で組み立ててください。
採算試算の基本式は、
販売価格 −(仕入価格 + 国際送料 + Shopee手数料 + VAT 7% + 梱包費)= 利益
Shopee手数料は商品カテゴリで変動します。販売手数料が概ね8〜17%、取引手数料が3.2%前後、これに広告や送料無料プログラム加入分を上乗せすると、実質の手 数料負担が30%前後まで上がるケースもあります。数字 は2026年時点の目安で、Shopeeタイ側の改定が年内に何度か入っている(1 月に手数料調整、2月に越境向け5%技術サポート料、3月に取引手数料の計 算基準変更)ため、最終の試算は相談時に個別に出しています。
まずは無料相談から
タイShopee市場は、市場規模・モール集客力・日本商品への需要が揃っている、参入価値のあるマーケットです。一方で、自社で運営するには言語・規制・物流・運用工数のハードルが高く、個人事業者・中小EC事業者にとっては代行販売型の代行サービスが現実的な選択肢になります。
「自分の商品はタイで売れそうか」「規制で引っかからないか」「採算は取れそうか」。このあたりの不安は、具体的な商品情報があれば短時間で見通しが立ちます。
弊社バンコクパスポートでは、無料オンライン相談(Zoom・約30分)で、商品の販売可能性・規制適合・採算の見立てまで一通り確認します。「タイ市場が気になる」「Shopeeを試してみたい」段階の方も、お気軽にご相談ください。
▼ 無料オンライン相談(Zoom 約30分)
https://bnk.yiwupassport.com/free-consultation/
▼ サービス詳細・公式サイト
https://bnk.yiwupassport.com/lp/shopee2/
※本記事の数値は2026年6〜7月時点。Shopee手数料・物流レート・各種規制は改定が頻繁に入るため、最新の状況は相談時にご確認ください。


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